スマホでニュースも本も読めてしまう時代に、わざわざ紙の本を読む意味はあるのか。
その問いに、脳科学の立場から「ある」と断言するのが、お茶の水女子大学准教授・毛内拡氏の『読書する脳』です。
同じ文章でも、紙で読むかスマホで読むかで脳の働きはまるで違う。
そして、読書を続けた人と続けなかった人の差は、10年後の「脳の余力」として静かに表れてくる――。
気合いではなくデータで、読書の効果を解き明かす一冊です。
『読書する脳』とは|
読書は最良の脳トレである
著者の毛内拡氏は神経生理学を専門とする脳科学者。本書は「本を読むと頭が良くなる」という曖昧な精神論を、脳の仕組みと研究データで裏づけていきます。
ポイントは、読書が単なる情報収集ではなく、脳そのものを鍛え、休ませ、将来の余力まで蓄える行為だということ。スマホ全盛のいまだからこそ、読書する人としない人の差が開いていくと著者は説きます。
とりわけ示唆的なのが、紙とデジタルでは脳の使われ方が異なるという指摘です。便利さでスマホに流れがちな読書を、あえて紙に戻す価値はどこにあるのか。
ここでは、本書が引く3つの研究データを手がかりに、読書が脳にもたらす効果を見ていきましょう。
【要約】数字でわかる、読書が脳に効く3つの理由
本書が紹介する昭和大学の実験では、同じ文章でも読解力テストの得点が紙で8.9点、スマホで7.4点と差が出たとされます。紙の本はページの位置という「脳内マップ」を作り、内容が記憶に定着しやすいのだといいます。
本書が引くサセックス大学の研究では、わずか6分の読書でストレスが最大68%下がったとされます。音楽や散歩よりも効果が高く、読書は手軽にできる「最良のリラックス法」でもあるのです。
読書習慣は認知予備力を高めると本書は説きます。脳に多少のダメージがあっても症状が出にくかった修道女「シスター・メアリ」の例を引き、読書で蓄えた知的な余力が、年齢を重ねたときの強い味方になると伝えます。
覚えておきたい一言読書は「最強の脳トレ」であり「究極の休息」であり、将来の「脳の余力」を蓄える投資でもある。紙の一冊が、10年後の自分を支える。
まとめ|
読む前・読書中・読んだ後を変える
読書の効果を最大化するために、本書は3つの段階を整えることを勧めます。読む前は「何のために読むか」という小さな目標と問いを立てる。読書中は流し読みせず、時に声に出し、自分に問いかけながら読む。読んだ後は思い出して書く・話す、つまりアウトプットで記憶を固める。
特別な道具も時間もいりません。順番を意識するだけで、同じ一冊から得られるものが大きく変わります。
実際、忙しい合間に読書を続けているビジネスパーソンほど、「読み切ること」ではなく「一行でも仕事や生活に使うこと」を目的にしています。
通勤の数十分を紙の本にあて、読んだ内容を翌日同僚に話す――そんな小さな習慣を積み重ねた人が、数年後には企画力でも判断のスピードでも一目置かれるようになる。読書は、地味だからこそ効いてくる投資なのです。
スマホに奪われた時間を、少しだけ紙の本に戻してみる。それだけで脳の使い方は変わります。
本書には、ここで紹介したデータや3ステップのほかにも、記憶・集中・脳の老化と読書の関係が、脳科学者ならではの視点でやさしく解説されています。
『読書する脳』とは?
- お茶の水女子大学准教授・毛内拡氏が、読書の効果を脳科学から解き明かす新書。
- 紙とスマホで脳の働きが違う理由を、研究データとともにわかりやすく解説。
- 読む前・読書中・読んだ後の3ステップで、読書を脳の力に変える実践書。
本書で読み解ける主なテーマ
- 01紙とスマホで異なる脳の働きと記憶の定着
- 02読書がストレスを下げる「究極の休息」効果
- 03日本語ならではの「最強の脳トレ」という側面
- 04認知予備力=脳の余力を蓄える読書習慣
- 05効果を高める「読む前・中・後」の3ステップ

読書する脳
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