毎日、全力で頑張っているのに、なぜか楽にならない。
人に負けたくない、置いていかれたくない、もっと評価されたい――そう自分を追い込むほど、人間関係はギスギスし、心の余裕が削られていく。
頑張れば頑張るほど苦しくなる、その負のループから抜け出すヒントが「ゆずる」という一手です。
曹洞宗の住職であり庭園デザイナーでもある枡野俊明氏は『迷ったら、ゆずってみるとうまくいく』で、ゆずることは我慢ではなく、むしろ超ポジティブな選択だと説きます。その禅の知恵を読み解きます。
『迷ったら、ゆずってみるとうまくいく』とは|
“ゆずる”は我慢ではない
「ゆずる」と聞くと、我慢する、損をする、自分が引き下がる――そんなネガティブなイメージを持つ人が多いかもしれません。本書はそこを、まっすぐにひっくり返します。
ゆずるとは手放すこと。手放せば、その空いたスペースに新しいものが入ってくる。道元の言葉「放てば手にみてり(手放せば、手は満たされる)」のとおり、執着を手放したときにこそ、心の余裕も豊かさも巡ってくる、という発想です。
著者の枡野俊明氏は、曹洞宗 徳雄山建功寺の住職で、国内外で活躍する庭園デザイナー、多摩美術大学名誉教授でもある人物。禅の教えを、現代の仕事や人間関係にそのまま効く知恵として翻訳してくれます。
競う、欲張る、焦る、威張る、執着する、見返りを求める――私たちを消耗させるこれらを少しずつ手放す。その実践を、3つの禅の言葉から見ていきましょう。
【要約】手放すと、入ってくる
――”ゆずる”を実践する3つの禅
意味道元の言葉で「手放したとき、はじめて手は満たされる」。執着を握りしめているうちは、新しいものを受け取る余白が生まれない。
日常の一手電車で席をゆずる。会議で発言の順番をゆずる。同僚に手柄をゆずる。差し出した分だけ、心の余裕と周りからの信頼が静かに返ってくる。
意味他人と比べる「勝ち負けゲーム」から降りる。比較は終わりがなく、勝っても負けても心をすり減らすだけ。土俵を降りた人ほど、消耗しない。
日常の一手SNSで誰かと比べてモヤッとしたら、その場で「これは自分に本当に必要な勝負か?」と一度問う。多くの比較は、降りてしまっていいものだと気づく。
意味自分の損得ではなく、人や場のために一歩を出す。これが「徳を積む」ということ。すぐの見返りを期待しないからこそ、行いは澄んでいく。
日常の一手目先の損得で動きそうになったら、人や周りのために少しだけ動いてみる。積んだ徳は、巡り巡って、思わぬ形で自分に返ってくる。
覚えておきたい一言ゆずるとは、負けでも我慢でもなく、手放すこと。放てば手にみてり――握りしめた競争心や見返りを手放した分だけ、心の余裕と信頼が入ってくる。
まとめ|
手放せる人が、結局すべてを手に入れる
競う、欲張る、焦る、威張る、執着する、見返りを求める。私たちを疲れさせるこれらを、少しずつ手放してみる。
ゆずるとは引き下がることではなく、心に余白をつくること。その余白にこそ、余裕や良い縁、新しい機会が入ってくる――禅が何百年も伝えてきた知恵を、本書は現代の言葉でやさしく届けてくれます。
実際、職場で席や手柄を自然にゆずれる人ほど、周りから信頼が集まり、結果的に重要な仕事を任されていきます。
我先にと競い、手柄を抱え込む人より、一歩引いて相手を立てられる人のほうに、いい縁といい情報が巡ってくる。これは精神論ではなく、人間関係の現実です。
頑張ること自体が悪いのではありません。ただ、力の入れどころを「勝つこと」から「ゆずること」へ少しずらすだけで、毎日はぐっと軽くなります。
「頑張っているのに、なぜか消耗する」と感じているなら、力むのをやめて、一度ゆずってみるのが近道です。
本書には、ここで紹介した3つのほかにも、欲張らない・焦らない・威張らない・執着しないといった、心を軽くする禅のヒントが全6章にわたって描かれています。
『迷ったら、ゆずってみるとうまくいく』とは?
- 「結局、手放せる人がすべてを手に入れる」という禅の考えをもとに、ゆずる生き方を説いた一冊。
- 著者は曹洞宗 徳雄山建功寺の住職で庭園デザイナー、多摩美術大学名誉教授の枡野俊明氏。
- 競争・焦り・執着を手放し、心の穏やかさと豊かな人間関係を得る方法を、禅の言葉でやさしく解説。
本書の主な構成
- 第1章競うことをやめると、うまくいく
- 第2章あれも、これもと「欲張らない」
- 第3章はやく、はやくと「焦らない」
- 第4章むだに「威張らない」
- 第5章事物に「執着しない」
- 第6章相手に「見返りを求めない」

迷ったら、ゆずってみるとうまくいく
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